二世帯住宅には、建築費を抑えられる、光熱費や食費などのランニングコストを抑えられる、子どもの面倒を見て欲しいときなど気軽に依頼できるといったさまざまなメリットがあります。
しかし、実際に暮らし始めるとメリットよりもデメリットの方が大きく感じられることもあるようです。
二世帯住宅で失敗する理由として、「ルールを明確化していなかった」ことを挙げる方も少なくありません。互いが快適に過ごすには、親世帯・子世帯で話し合ってルールを決めることが大切です。
二世帯住宅で起こる問題
まずは、二世帯住宅でよくある失敗例を見ていきましょう。
・間取りや設備を一緒にしたことによる失敗例
建築費を抑えるために、キッチンやバスルーム、トイレ、玄関など、間取りや設備を共同使用する二世帯住宅を検討されている方もいらっしゃるでしょう。
しかし、ライフスタイルの違う世帯が一緒に使うと、「キッチンにいつも姑がいて使いづらい」「好きな時間にお風呂に入れない」「帰りが遅いので親世帯に気遣う」など、お互いがストレスを溜め込む一因につながることもあります。
住み始めた頃は気にならなくても、設備の使い方の違いやちょっとした汚れなどが気になって、やがて大きな衝突を生むことだってあるのです。
・光熱費などの生活費を一緒にしたことによる失敗例
二世帯住宅のメリットは、電気やガス、水道などの光熱費の支払いを同一にすることで、ランニングコストを抑えられる点もあります。
とはいえ、一日の大半を家で過ごす世帯と、ほとんど外出している世帯とでは、光熱費の額は異なります。単純に折半したことが「不公平だ」という気持ちを生み出し、トラブルの原因になることもあります。
・プライバシーを確保しにくいことによる失敗例
モノの貸し借りや許可なく相手の領域に入るなど、プライベートの空間や時間に勝手に割り込まれることも、二世帯住宅ではよくある話です。
また、「生活音が気になって気遣う」「いつも監視されている感じがする」といった些細なことが積み重なり、大きなストレスになることもあります。
二世帯住宅でうまく過ごせる人が行っているルール決め
たとえ親子であっても、ライフスタイルの異なる暮らしをしてきた「異なる世帯」ですから、同じ屋根の下に暮らすのであれば、互いを尊重しあえるようなルールを設けることが大切です。
その一例を、いくつか紹介します。
・間取りや設備を共用する場合のルール
ライフスタイルが大きく異なる二世帯であれば、最初から間取りや設備を別々に設けた方が互いに気遣うことなく過ごせるでしょう。
とはいえ、「本当はそうしたいけど、予算の関係で難しい」という方もいらっしゃると思います。
そこで、共用するスペースや設備には、互いが納得できるルールを設けましょう。
たとえば、朝食は子世帯がつくり夕食は親世帯がつくるといったキッチンの役割分担をする、お風呂は子どもから入り子世帯、親世帯の順にするなど、互いのライフスタイルに適したルールを設けることで、ストレス軽減につながります。
・生活費などのお金に関するルール
親子間であっても、お金のトラブルはよくある話です。
電気代や水道代などの光熱費も、別々にした方が無難でしょう。
一部の設備を共用する共有二世帯住宅であっても、電気メーターや水道メーターなどを別々に設置することで、互いが使った分だけを支払うことが可能です。
また、親世帯が子どもにお小遣いをあげることを嫌う方もいらっしゃるでしょう。
「お手伝いをしてくれたから小遣いをあげたいけど、いい?」など一言断りを入れるなど、互いが納得できるルールを設けることも大切です。
・プライバシーに関するルール
親世帯・子世帯のコミュニケーションをよくするには、適度な距離を保ち干渉しすぎないこともポイントです。
互いの敷地内に入るときは断りを入れる、インターホンを鳴らすといったルールも必要でしょう。
細かいことですが、「雨が降ってきたら、洗濯物を取り込むだけにする(畳んでタンスにはしまわない)」「宅配物は玄関に置いておく」など、プライベート空間にできるだけ立ち入らないようなルールを設けるのも一手でしょう。
まとめ
二世帯住宅を検討する際には、親世帯・子世帯で家づくりの話し合いをすることが、しばしばあると思います。
その際に、明確なルールについて決めることも必要です。
「親子だからいいじゃない」とあいまいにすると、後のちトラブルが生じやすくなります。
ルール作りについて、最初はイメージしにくいかもしれません。
その場合でも、まずはルールをつくってみて運用し、うまくいかない部分は家族で話し合ってから変えるといった方法でも良いでしょう。
いずれにせよ、大切なのは互いを尊重し、干渉しすぎないよう、家族みんなが納得するルールを決めることです。家族の誰かが我慢を強いられる家にならないよう、みんなが快適に暮らせる二世帯住宅を手に入れましょう。