住宅購入者は、「すまい給付金」の申請をすると最大で50万円の補助金をもらえます。
すまい給付金は、ローンを組んで家を新築する場合、ほとんどの人が利用できる制度です。ただし、そもそもすまい給付金という制度があることや、どうやって申請するのかを知っていないと、補助金を受け取ることができません。
ここでは、すまい給付金の基本について解説しています。
すまい給付金とは?
すまい給付金とは、国土交通省によって用意されている住宅購入支援制度です。
いくつかの利用条件はありますが、定められた条件さえクリアしていれば、収入や不動産の持分割合に応じて最大50万円の給付金をもらえます。
消費税増税の負担を軽減するための制度
すまい給付金は、消費税の増税によって増える家計の負担をカバーするために作られた補助金です。
不動産の売買では、以下のような支払いに対して消費税がかかります。
・建売住宅の購入費用
・注文住宅を建てるための工事予算
・不動産会社に土地を探してもらったときに支払う仲介手数料
家は安い買い物ではありません。
新居の価格が1,500万円だったとしたら、消費税が8%から10%に上がるだけで出費は30万円も増えてしまいます。
また、消費税増税の影響は、高所得者よりも使えるお金の少ない低・中所得者の方が大きいです。
まったく同じ仕様・品質の家を買うにも関わらず、増税の前後で出費が数十万円変わると、家を買おうと考える人が減ってしまいます。
そこで、消費税増税によって増えた負担をカバーし、増税の前後でも同じくらいの負担で家を買えるように、すまい給付金が生み出されました。
なお、すまい給付金は、新築住宅だけでなく中古住宅の購入時や、二世帯住宅でも利用可能です。
受け取るお金は原則として課税の対象にならないので、家を買ったら積極的に申請しましょう。
すまい給付金の対象となる条件は?
基本的なすまい給付金の利用条件は、以下の通りです。
・収入が一定以下(目安は消費税10%時で775万以下)
・不動産の所有権を持っていて、なおかつ購入した家に住んでいる
・家の床面積が50平方メートル以上(契約日によっては40㎡以上)
・金融機関で返済に5年以上かかる住宅ローンを組んでいる
・現金で家を買う場合は、申請者の年齢が50才以上である
収入について、実際の給付基礎額の算出は、都道府県民税の所得割額に基づいて決定される仕組みとなっています。
また、すまい給付金はマイホームが欲しい人向けの制度ですので、「賃貸として他人に貸すため」など、投資目的で家を買って給付金をもらおうとする人は利用できません。
そのほか、ポイントとなるのが第三者機関による検査です。ハリボテの家を建てて補助金を受け取るといった悪用ができないように、申請者は一定以上の広さや住宅性能があることを証明する必要があります。
第三者機関による検査は、多くの場合、事前予約が必須なので、あらかじめハウスメーカー側に「すまい給付金をもらいたい」と伝えて検査の予約を取りましょう。
すまい給付金はいくらもらえるのか?
すまい給付金の額は、
・収入額(都道府県民税の所得割額)からの給付基礎額
・不動産の持分割合
といった要素の組み合わせで決まります。
基本的には、「年収が低い」「扶養家族が多い」「持分割合が高い」ほどもらえる金額が上限に近づいていくと理解しておけば、問題ないでしょう。
参考例として、
・夫が会社員
・専業主婦の妻と中学生以下の子ども2人
という世帯を例に収入額を目安に給付基礎額をまとめると、以下のようになります。
・年収450万円以下:50万円
・年収450~525万円以下:40万円
・年収525~600万円以下:30万円
・年収600~675万円以下:20万円
・年収675~775万円以下:10万円
すまい給付金の計算方法
①年収から給与所得控除を引く
②さらに各種控除を引いて「住民税の課税所得」を求める
③住民税の課税所得に都道府県民税率(政令指定都市以外は4%、政令指定都市は2%)をかけて「都道府県民税の所得割額」を出す
④申請書などを使い、都道府県民税の所得割額から「給付基礎額」を見つける
⑤給付基礎額に持分割合(不動産の代金を負担した割合)をかける
という手順です。
文字の説明だけだとわかりづらいので、実際に数字を当てはめて、すまい給付金の計算がどうなっているのか説明します。
今回例として利用するのは、
・2020年に家を買う予定
・新居の住所地は政令指定都市以外の場所
・世帯年収400万円のサラリーマン家庭
・世帯構成は妻と中学生以下の子ども2人
・持分割合は夫が100%所有
というモデル世帯です。
年収400万円の場合、2020年以降の給与所得控除は「収入×20%+44万円」なので、①の計算は以下のようになります。
・給与所得控除=400万円×20%+44万円=124万円
・400万円-124万円=276万円
住民税の基礎控除は33万円、扶養控除は1人あたり38万円です。
ただし、16歳未満の子どもは扶養控除がつきません。
また、社会保険料控除は人によって金額が変わるので、目安として収入の15%を当てはめます。
この場合、②住民税の課税所得は以下の通りです。
住民税の課税所得=276万円-住民税の基礎控除33万円-扶養控除38万円-400万円×15%=145万円
政令指定都市以外の場所だと、都道府県民税の税率は4%なので、都道府県民税の所得割額は以下の金額になります。
・145万円×4%=5.8万円
すまい給付金の公式サイトや申請書類に記載されている「給付基礎額の確認表」だと、都道府県民税の所得割額が7.6万円以下の場合、給付基礎額は50万円です。
例では夫が物件の所有権を100%(1分の1)持っているため、
・すまい給付金額=50万円×1=50万円
となります。
このように、すまい給付金の計算を自分の手で行うのは大変です。
最寄りの市役所で「住民税の課税証明書」を発行すれば「都道府県民税の所得割額」がわかるので、あとは申請書の空欄を埋めていって給付金額を求めると良いでしょう。
すまい給付金をもらうための流れ
すまい給付金の申請手順は、
・家を買って新居に引っ越す
・必要書類を揃える
・すまい給付金事務局の窓口に郵送または直接書類を提出する
の3段階です。
必要書類は、すまい給付金の公式サイトから無料でダウンロードできるので、印刷して記入しましょう。住宅会社によっては手続きを代行してくれますので、担当者に確認してみましょう。
なお、すまい給付金は、「一時所得」です。
年間50万円を越える一時所得がある場合は、確定申告をして所得税の納税が必要ですが、すまい給付金以外に一時所得がなければ特別何かの手続きをする必要はありません。
すまい給付金はいつもらえる?
すまい給付金は、書類を送ってから1~2ヵ月ほどで指定した口座に振り込んでもらえます。
ただし、すまい給付金の申請期限は、新居の引き渡しから1年と3ヵ月以内(一時的な処置。原則として期限は1年間)です。
すまい給付金の取得条件を満たしていても、すまい給付金事務所に申請を出していないと給付金はもらえないので、手続きを忘れないように気をつけましょう。
まとめ
家を買う人の大半は、書類を準備して申請するだけで最大50万円のすまい給付金をもらえます。
すまい給付金以外に一時所得がなければ、後から税金の支払いを求められることもありません。
「自分がすまい給付金をもらえるのか」「いくらもらえるのか」といった情報も、公式サイトのシミュレーターから簡単に確認できます。
ただ、申請を忘れると給付金をもらえないので、新居の購入手続きをしながらすまい給付金の申請準備も進めましょう。